HOME LIBRARY COLUMN SOMECITY 2013-2014 TOKYO 2nd 第3戦 コラム「スキルコソモノノジョウズナレ」

SOMECITY 2013-2014 TOKYO 2nd 第3戦 コラム「スキルコソモノノジョウズナレ」

最高に気持ち良かったはずの僕達は、何時しか二日酔いに蝕まれていた。
フラフラと千鳥足のまま歩いていると、ふと目の前に壁が現れる。
気付いた時にはもう遅く、ブレーキの効かない身体は堅い障害物に強く打ちつけられ、
何かが起こるはずの場所へ続く道のりは、そこで止まってしまう。

この日の第3戦は、何かが確実に足りなかった。
ハロウィンの浮かれムードが一気に醒めるような、
消化不良な一夜の様子をお伝えする。


本編の前に、今節から開幕したレギュラーゲームの前座試合・SCDLに触れておく。
オープニングアクトのSCDL GAME1は、MC MAMUSHIのシャウトに引っ張られるように、尻あがりに熱気を帯びていく好ゲームだった。
オープントーナメント「WHO’S GOT GAME?」を勝ち抜き、念願のイエローコートを踏んだBRMが、2シーズン目を迎えた多国籍軍団SundayCrewに逆転勝利を収めた。
誰もが諦めかけたルーズボールをビッグマン#7 TAKAが繋ぎ、その意志を託された#3 DA-ISHIが起死回生のダウンタウンを決めたシーンは、第3戦のハイライトシーン。
突破力に長けた#6 MIYAを中心に、初めてのイエローコートに臆することなく、6分の前後半を楽しんでいる姿が印象的だった。

「リアルセンドー」#7 JUNの連続ダウンタウンで幕を開けたSCDL GAME2は、「濱の44口径」#4 TAKUの連続ダウンタウンで幕を閉じた。
即ち、1年前のレギュラーチーム・TEAM-Sの完勝だった。
長身の外国人ボーラー2名を擁し、今季の台風の目になると思われた東京オーシャンズは、チームとして未成熟さを露呈。
「WHO’S GOT GAME?」優勝の立役者「194cmのマッドハンドラー」THE MAXを欠き、攻めどころが「205cmのセネガリアン」#7 SARRしか見当たらなかった12分は、SOMECITY2代目王者の引き立て役でしかなかった。



ここからはレギュラーゲームの様子をお伝えする。
先ずは、徐々にアジャストしてきた「戦慄の左フック」#57 マー坊・ストリート最強ビッグマン「大魔神」#96 ダークロのツインタワーをスターターで起用して内を固めた勉族を、外から鮮やかにSIMONが射抜いたGAME1から。
UNDERDOGを破った開幕戦は、フロックでもアップセットでもなかった。昇格2シーズン目を迎えた今季の彼等は、お世辞抜きで強いと認めざるを得ないだろう。
サイズで上回る相手とインサイドで互角に渡り合った鉄壁のディフェンスで流れを掴み、エースに成長した「SHINOBIボーラー」#27 シバタ、大事な場面でキッチリと3本の3ptシュートを成功させた「クイック&ハード」#31 ナルセのコンビを完全に封じ込めることの出来るチームは、今シーズン今のところ見当たらないのではないか。

また、敗れはしたものの、中盤まで互角以上の攻防を繰り広げた勉族にも、このゲームに限っては称賛を送りたい。
最初から最後まで会場を沸かせ続けた「ラフメイカー」#1 ぬまがコミカルなムーヴで勉族ワールドを発生させたが、この日のロスターで唯一オフェンスのリズムを変えることのできる「代わりエース」#33 てるを、残り2分でファールアウトさせてしまったのが痛かった。終盤で「2代目アドバンテージ職人」#58 魚住をコートインさせる奇策も及ばず、34-30でGAME SET。持ち味は十二分に発揮したが、あと4点が遠かった。


DJ KENKENが用意したGAME2のオープニングナンバーは、ジャパニーズ・ストリートボールシーン不朽のアンセム・「What’s Onyx?」。
この粋な計らいに、デスマスクを被って会場の四方から入場した、ハロウィン仕様のF’SQUADが燃えないわけがない。
中でも、第3戦出場ボーラー中最多となる24得点を稼いで、満場一致のMIPを受賞した「オルタナティヴ・シェイカー」#12 UGのON FIRE!ぶりは素晴らしかった。
彼が1本シュートを決める度に、彼をスターターに送り込んだオレンジ×ブルーのベンチが沸き上がる。
ただひたすらに磨きあげたシェイクを武器に、得意のジャンパーだけでなくドライブでも観客を魅了した伏兵が、遂に主役の座を射止めたのだ。

「ドライブイン馬鹿」#9 CHIHIROを4FOULで失ってまで挑んだファールゲームが失敗に終わった、目下3連勝中の平塚Connectionsは今シーズン初黒星。
特別悪かった印象は無かったが、特別良かった印象も無かった。


スコアボードに刻まれたトータルスコア「50-28」が、GAME3の全てを物語っていた。
一部のコアなUNDERDOGサポーターを除いて、この試合内容に満足した人間はいなかっただろう。ゲームは、常にUNDERDOGがリードする形で進んだ。「ハングリードッグ」#17 TATSUROUが安定感のあるジャンパーで牽引すると、フィニッシャーとして機能した「Redbull King of the Rock日本代表」#33 M21の3ptシュートが冴えわたる。

先手を取られた勉族は、序盤で「ラフメイカー」#1 ぬまが負傷退場すると、前半終了時点にはWスコアを付けられる苦しい展開。残り時間と反比例して開いていく点差に、博打を打つしかなかったのだろう。奇跡を賭けて降らせた3ptシュートの雨がリングに嫌われる、考えうる限り最悪のシナリオに突入した後半残り5分は、はっきり言って見れたモンじゃなかった。


「彼が何故ここに?」と思った人も少なくないだろう。
MAIN GAMEを支配したのは、約1か月前に開幕した国内トップリーグ・NBLで長いリーグ戦を戦っているはずのSIMON #6 アチャ。普段はオールコートを主戦場とする192cmの大型捕食獣は、サバンナで狩りをするような躍動感溢れるプレーで、16分間一度もブレーキを踏むことなくハーフコートを縦横無尽に駆け回った。
同じくスターターで起用された「ニューフェイス・シューター」#15 ツカサも、ベンチの期待に応えてシュートを決める。
終わってみれば、GAME1で活躍した#27 シバタを温存したまま、27-40でWヘッダー2勝目を挙げたSIMONが今季の通算成績を3勝1敗とし、平塚Connectionsと並んで首位に躍り出た。

ニューヒーローの誕生しなかった420は、全く良いところなし。予想通りの盛り上がりに欠けるワンサイドゲームで完敗を喫した。


偉大過ぎる先人は、第3戦を振り返ってこう述べた。
「この舞台では、スキルが全てだ」と。
バスケットボールが、ストリートボールが、SOMECITYが好きなのは大前提の話だ。
好きな気持ちだけで上達したら苦労はしない。
「好きこそ物の上手なれ」という言葉が示す通り、
好きだからこそ、僕達はスキルを磨くのだ。
チームを勝利に導くためのスキルを、魅せて勝つためのスキルを。
点差が開いていても、例え自らの勝利が絶望的な状況でも観客を沸かせることの出来るスキルを。
コートをぐるりと囲んだ大観衆の前でも、普段通りのパフォーマンスを発揮できるスキルを。
そのスキルがこの舞台に立つ一人一人に備わった時、
このコミュニティは今目の前に厭らしくそびえ立つ、高い壁の向こう側に行ける。
もっとヤバい景色が見える。そんな気がしてならないのだ。


文:石井ジョゼ