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SOMECITY 2013-2014 TOKYO 2nd 第4戦 コラム「PICNIC」

率直に言うと、ドキドキした。
消化不良だった前回とはうって変わって、この日のSOMECITY TOKYOは、
最後まで安心してワクワクしていることが出来た。
初めてクラブチッタに足を運んでくれたお客さんが、
「もう一度観たい!」と言える内容だったと自信を持って断言できる。

このアンダーグラウンドな表舞台に立つ名も無きボーラー達は、
2週に1度カッコつけるためだけに、
日頃からカッコ悪いトレーニングを自らに課さなければならないのだ。
本番当日で最高のパフォーマンスを発揮するために、
前日まで最高の準備を怠ってはならないのだ。

誰に何を聞いたわけではないが、そう思わせるには十分過ぎる、贅沢な夜だった。


先ずは今回も、前説の下部リーグ・SCDLに触れておこう。
SCDL GAME1は、地力に勝るSUNDAY CREWが問題なく勝利を収めた。
この場で多くは語らないが、中心選手を欠いて2連敗を喫した東京オーシャンズに、イエローコートは少し早かったのかもしれない。

ティップオフ直後から「濱の44口径」#4 TAKUのシュートが落ちなかった、SCDL GAME2。
一瞬の駆け引きで眼前の相手をアンクルブレイクさせると、すかさず放った3ptシュートがブザービーター。まるで前座の中に一人だけ真打ちが一人だけ混じっているような格の違うプレーを見せつけて、前半でゲームを決めてしまう。
BRMのハイタワー・#7 TAKAに手こずる場面こそあったものの、最終的にはTEAM-Sが危なげなく開幕2連勝に成功している。


ここから先はお待ちかね、本編レギュラーゲームの様子をお伝えする。
先に概要から述べてしまうと、「鉄壁のSIMONディフェンスを、グッドシェイカーを3枚揃えたFのストリートボールがこじ開けた。」のが、GAME1のアウトラインである。
このゲームを語る上で、デビュー戦でスターター起用されるや否や、いきなりのMIPを獲得した「F’SQUADの秘蔵っ子」#23 LAWRENCE a.k.a.SUPERNOVAは避けて通れないだろう。
「Let’s Go!」ベンチから届く大先輩TANAのエールを背中に受けて、バックナンバーに神を宿した褐色の19歳は、威風堂々と1on1を仕掛けていく。
イルなハンドリングと爆発的に加速するスピード、そして、とびっきりのスマイル。
その姿はF’SQUADそのものを、一つのボーラーに具現化したようだった。

「Mr.CROSOVER」#7 K-TA、「リズムを刻むファンタジスタ」#18 MATSU、そしてLAWRANCE。#14 オイカワ、#15 ツカサのWシューターを擁するSIMONも決して悪くなかったが、磨きあげたスキルで相手を圧倒するF-STYLEは、それ以上に強く、そして最高にカッコ良かった。


現在3勝1敗と首位タイに立つ平塚Connectionsを相手に、今シーズン全敗の最下位420が健闘を見せたGAME2。
21得点を挙げ、三銃士の中で唯一人いつもと変わらぬパフォーマンスだった「ドライブイン馬鹿」#9 CHIHIROをブロックして一矢報いた孵化寸前の#23 SHUJI。
遊び心とキレのあるダンサブルなムーヴで会場を沸かせた#2 KYOSHI。
インサイドで身体を張り、事実上の司令塔を担った#15 S-TARO。
何処か吹っ切れたようにも見えた3点が線を繋ぎ、ようやく完成したトライアングルが中盤までほとんど互角の戦いを演じたが、それでも不調の王者には届かなかった。
420ファンには気の毒かもしれないが、これが現実、リアルだ。
33-26で力負けを喫し、後の無いDead Serious Crewが、勝負のWヘッダー1本目を落とした。


連敗脱出を賭けて連戦・GAME3に臨んだ420だったが、またしても初勝利はおあずけ。
4連続得点でスタートした気合十分な彼等の前に立ちはだかったのは、勉族の高さだった。
「ラフメイカー」#1 ぬま不在の難しい試合を、開幕戦以来の出場だった「開幕戦MIP」#6 仮エースがコントロール。
サーカス団の猛獣使いよろしく、「大魔神」#96 ダークロと「戦慄の左フック」#57 マー坊のツインタワーを操ってチームを勝利に導いた。

着地時に負傷してなお、コートに戻りシュートを決めた#15 S-TAROのプレーは胸を打ったが、これでWヘッダー2連敗。一寸先に光こそ見えたものの、「入替戦」SOMECITY CRASHに、また一歩近づいた。


タイムアップの瞬間まで勝敗の分からないMAIN GAMEが、文句なしの第4戦BEST GAMEだった。
残り11秒、1点ビハインドのF’SQUADは最後のオフェンスを#7 K-TAに託す。
クラブチッタ川崎が息を止めて見守る中、時間をかけて放ったシュートは惜しくもリングに跳ね返されてしまう。「勝負は決した。」誰もがそう思った次の瞬間、会場の溜息が歓声に変わる。
絶望を希望に塗り替える起死回生のオフェンスリバウンドを取ったのは、身長175cmに満たない、この日のMIP・#23 LAWRENCE。
ルーキーの想いを乗せたボールは、何かに導かれるように再びキャプテン・K-TAの両手へ。
しかし、彼がヒーローになることは叶わなかった。
2度目のラストショットがリングに嫌われ、試合終了を告げるブザーが鳴り響くと、ベンチ総出のUNDERDOGは、勝利の雄叫びを上げた。
機動力を活かしたディフェンスで攻撃の芽を摘んだ「ハウンドドッグ」#7 HAYATO、
ウイニングショットをねじ込んだ「ダイナマイト・シューター」#28 NOBUCHIKAもさることながら、一瞬たりとも気の抜けないタフゲームを辛抱強くコントロールした「新司令塔」#47 TA-BOが、この勝利で得た経験値は計り知れないだろう。
絶対王者として君臨した頃の「勝ち方を知る」仲間を次々と失った最強の負け犬にとって、今季屈指の大立ち回りで掴んだ1勝は、間違いなくデカい。


それは、誰の目にも明らかだった。
残念ながら結果には表れなかったが、この日の420は、第4戦にして初めて、
コートをぐるりと囲んだ大観衆の前で戦う準備をしてきた。
ここでいう準備とは、普段から行っている練習は勿論のこと、
マインドセットだったり、チームミーティングであったり、覚悟だったりするのだろう。
かつてレギュラーチームに2年以上在籍したTOKYO BEASTがそうであったように、
観客が必ずしも単純な勝ち負けのみを欲しているとは限らない。
負けが込んでも決して見放すことのない熱心なファンを持つ彼等の魅力は、
もっと別のところにあった。
その日、その空間で、お金を払って足を運んだ観客に対して、
何を準備して、何を見せることが出来るのか。
そういう意味で420は、第4戦にして、ようやく「開幕」を迎えたのかもしれない。
幼いころ楽しみにしていた遠足のようだ、と僕は思う。
本番当日のドキドキとワクワクを想像しながら、
前日の夜まで抜かりなく準備をして、
気心の知れた仲間と共に、僕達は目的地に向かって歩いて行く。
今シーズンの最終目的地・2013-2014 TOKYO 2nd FINALに向かうべく、
2週に1度、夜のピクニックは続く。

文:石井ジョゼ