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SOMECTY 2014-2015 1st TOKYO 第5戦コラム「ヒロイズム」

この日行われた第5戦を終えて、現在のSOMECITY TOKYO最大の課題である2極化は更に進行した。現在4勝1敗で1位タイに並ぶのが、平塚Connections、F’SQUAD、UNDERDOG、SIMONの計4チーム。レギュラーチーム昇格1シーズン目ながら2勝3敗と健闘を見せるSundayCrewが単独5位。続いて1勝4敗で6位タイに勉族と420が並び、0勝5敗のTEAM-Sが最下位に沈む。一体どうしてこうなってしまったのか。本稿では普段通り全4GAMEの内容に触れた上で、最後に僕個人の見解を記しておくことにする。


「今日の勝因?そりゃ、YOSKだろ。」
という#1 ぬまのコメントが、オープニングアクトGAME1の全てを物語っていた。
ピンチに駆けつけるヒーローの如く、開幕4連敗中の勉族を救ったのは、久しぶりにロスター登録されたbjリーガー・#11 YOSK。敗れた420は、YOSK一人にやられたと言っても過言ではない。それほどまでに、彼のプレーはコート上で一人際立っていた。
「今日はYOSKも居ることだし、勝ち負けはあまり気にしないで、いつも通り勉族のバスケをやろうと思った」という勉族の「ゆるやか~(MAMUSHI談)」な笑バスケに加わった最強のスパイスが、隙の見当たらないディフェンスと決定力のあるオフェンスで慣れ親しんだ古巣を今シーズン初勝利に導いた。



経験に勝るUNDERDOGがSundayCrewを30-35で退けたGAME2。インサイドからアウトサイドまでこなして12ptをマークした#91 WORMと、3本連続ダウンタウンをメイクした#33 M21の両輪が試合を優勢に運び、最後は#47 TA-BOが力強いアタックを捻じ込んで、沸騰寸前のゲームに終止符を打った。
まだPLAYOFF進出の可能性が残されている当落線上のSunayCrewは、今季のペイントエリアで猛威を奮った#55 LEEが抑え込まれる中、bjリーガー・#54 SAMと底知れぬポテンシャルを感じさせる#70 SATORUが個人技で見せ場を作ったが、一歩及ばず。



現在3勝1敗のSIMONと0勝4敗のTEAM-SによるGAME3は、結論から述べるとMAIN GAMEの前振りでしかなかった。試合終盤に発生した#6 ASANOのワンハンドダンクが無かったら、果たしてGAMEとして成立していたか怪しい。結果的に19 – 25でSIMONが勝利こそしたものの、あまりにお粗末な内容に、お金を出してクラブチッタに足を踏み入れた観客は勿論のこと、コートに立っていたボーラーも含めて、あの日あの場所にいた人間でこのゲームに満足した人間は恐らく一人も存在しなかっただろう。
尚、これでTEAM-Sは開幕5連敗。強制的に自動降格させられるシーズン最下位が、いよいよ現実味を帯びてきたか。



この日の本編は、MAIN GAMEの後半残り10秒から始まった。
時計の針をティップオフ前に戻そう。
2013-2014 1stシーズンの王者F’SQUADと、2013-2014 2nd シーズン王者の平塚Connctions。2013-2014 THE FINAL決勝でも顔を合わせた、現在の日本ストリートボール界において2強と目される両者の戦いは、ゲーム開始前にも関わらず、独特の張りつめた空気が流れていた。
ここまで開幕4連勝中の首位・F’SQUADは、前節第4戦のMIP・#7 K-TAにボール集め、快調にジャンパーを沈めていく。対する平塚Connectionsは、テンションMAXのMC MAMUSHIから愛あるディスを受け取った#5 TATSUHITOが存在感を放つ。「期待されるのは光栄なこと」と語る2013-2014 THE FINAL MVPは、相手ディフェンスに倒されながらも3ptシュートを沈め、ゴール下では188cmの身体をブチ当ててAND1をもぎ取るなどビッグショットを連発。やられたらやり返す首位攻防戦は、見応え充分な互角の攻防が繰り広げられた。
試合が動き始めたのは、ゲーム中盤。F’SQUAD期待のルーキー・#5 KAZUYA a.k.a.K-TA2のブロックショットが、今季くすぶり続けている#9 CHIHIROの導火線に火を点けた。リーグを代表する1on1バーサーカーはDAIKIに1on1を要求すると、すかさず必殺のドライブ一閃。続くディフェンスでもブロックショットをやり返して、同点で迎えたアドバンテージルールでは再びドライブからシュートを成功させてリベンジ完了。若き逸材を完膚無きまでに叩きのめした。
続く後半は、クロスゲームに突入。F’SQUADはK-TA、平塚ConnectionsはCHIHIROの両キャプテンを中心に一進一退の攻防を展開する。
そして迎えた、後半残り10秒。37-39、2点ビハインドを背負ったF’SQUADは、K-TAの1on1に全てを託す。しかし残念ながら、2014年6月25日は「彼の日」ではなかった。ドライブでCHIHIROを抜き去り同点を狙ったレイアップシュートをブロックしたのは、ここまで息を潜めていた#2 SHIGEO。残り時間は1秒、会場中の誰もが平塚Connectionsの勝利を確信したその瞬間、F’SQUADもう一人のルーキー・#27 DAIKIがルーズボールに飛び込んだ。一縷の望みを託して放ったミドルシュートは、TEAM GREENを除く誰もが待ち望んだ福音を残して、鮮やかにリングを通過した。起死回生のブザービーターに割れんばかりの大歓声が巻き起こるクラブチッタ川崎。勝負の行方は、オーバータイムへと持ち越されることになった。
そこから先のシナリオは、皆様ご存じの通り。1分間の延長戦を制して勝ち名乗りを上げたのは、平塚Connectionsだった。後半終了直前まで存在感を消していたSHIGEOが迷いなく放り投げた3ptシュートがリングに吸い込まれて3点リードした平塚を、K-TAの3ptシュートでF’SQUADが同点に追いついたのも束の間、この日・第5戦のMIPを獲得したCHIHIROがシグネチャームーヴのドライブから変則的なレイアップシュートを決めて勝負アリ。一発逆転を狙ったK-TAの3ptシュートはリングに嫌われ、タイムアップを告げるブザーが鳴り響く。第4戦の再現はならなかったが、今季屈指の好カードは、今季最高の盛り上がりで幕を閉じた。



最近のSOMECITYを観ていて感じることがある。
それは、この舞台で結果を残すためには「俺が試合を決めてやる!」という強烈な自己顕示欲=メンタルが必要不可欠であるということだ。勿論、スキルが伴っていなければ只の勘違い野郎で終わってしまうだろう。度の過ぎたエゴイズムはチームの輪を乱し、結果的にチームの戦力を落としかねない。
言うまでも無く、バスケットボールはチームスポーツである。自分一人で敵チーム全員を抜き去ってシュートを決めることは非常に困難だ。どんな形であれ、仲間の協力なくして勝利することは難しい。確かに、適度なチームワークは必要だと思う。
ただ、クラッチタイムで味方にボールを譲るような「慣れ合いのチームワーク」は、ハッキリ言って必要ない。自分に自信が無いからといって他人に主役の座を明け渡すようなボーラーは、きっとこの舞台に相応しくない。
この日のMAIN GAMEを制して首位タイに並んだ昨シーズンのディフェンディングチャンピオン・平塚Connectionsが現時点最強チームの一つである所以は、連携プレーが特別優れているわけではなく、「平塚三銃士」という、強烈な自己顕示欲と実際に試合を決めてしまえる確かなスキルを併せ持ったスターター3人が同時にコートに立っているから、だと思う。現在下位に低迷しているチームは、上位チームに比べてこの主役級ボーラーを抱える割合が少ないのではないだろうか。一人一人が主役である意識が芽生えた時に、コートに立つメンバーの和は、「1+1+1=3」ではなく、もっと大きな数字になる。エゴの先に生まれるチームケミストリー、それこそが本当の意味でのチームワークなのだと思う。
もしSOMECITYボーラーがこの文章を読んでいるのなら、
次のSOMECITYまでに、どうかもう一度自分自身を見つめ直してほしい。
ハーフコートをぐるりと囲んだ観客。ゲームをドラマティックに演出するDJ。グッドプレーには賛辞を、バッドプレーには批難を惜しみなく送ってくれるMC。たった一夜限りかもしれないが、SOMECITYは、誰もがヒーローになれる可能性を用意している。そこには、年齢もキャリアも関係ない。必要なのは、そう、スキルと野心だけなのだ。
今季のレギュラーラウンドも、残すは2戦のみ。
今季のヒーローになるチャンスは、あと2回しか残されていないということを、
どうかお忘れなく。



文:石井ジョゼ